まさゆめ

先日 朝夢を見た。
埼玉に住む 娘の夢だった。

夢の中で 私は車に乗り込んだ。
ふと気がつくと 一緒にいたはずの娘がいない。
私は 携帯で娘に「今 どこにいるの?」と 聞いた。
すると 娘が
「あのね、 洞窟に入ったら 出られなくなっちゃった」
「エ〜!何でエ〜」
そう言った所で 夢が覚めてしまった。

「あ〜 どうしよう・・・せめて 『動いちゃダメよ。そこにいなさい!』と 言ってから夢から覚めたかった」

夕方 食事の準備をしている時 急にこの不吉な夢を思い出して 私は娘に電話をした。

「なあに?」と 娘。
「あのね、お母さんね 今朝夢を見たのよ。」
「また夢で 電話してきたの?」
「それがね アンタが洞窟に入って 出られなくなっちゃった夢で・・・お母さん心配で心配で」
「ア〜アンン・・・大丈夫大丈夫 洞窟なんか入らないから!
いま 学校の仲間と 打ち上げの飲み会やってるんだ!じゃあね〜」
「ちょっと!まって 正夢になったら 大変だから・・・」
そこで 電話は切れた。
まあいいか!言うだけの事は言ったし 娘も無事だったから・・・

ところが 夜中の1時ごろ 枕もとの電話が鳴った。娘からだ・・・

娘「お母さんどうしよう。途中までは帰って来たんだけど この先終電がなくなって 帰れなくなっちゃった ! タクシーで帰ると いくらくらい掛かるかな?」
私「いったい いくらもってるの?」
娘「4000円しかない」
私「バカね・・・なんでもっと早く帰って来ないのよ 女の子がこんなに遅く・・・
 とにかく タクシーの運転士さんに いくらくらい掛かるか聞いてごごらん そして足りなかったら交番へ行っておまわりさんにおかね借りて・・・」
真夜中なので 心配で こちらも寝ている場合ではない・・・

結局 娘は 4000円以内で 帰れる範囲だったので 無事タクシーで帰れた。
それも やさしい女性 の運転士だったそうで ホッとした。

「まったく〜 正夢になるところだったじゃない」
「へへへ・・・ほんとだね。 ごめん!ごめん!」

いつも 偏屈な娘も この夜だけは 素直だった。

母の愛が 娘を救ったと 思った・・・

 

 

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