うさぎパン

 

山日記では、朝食にフォカッチャというイタリアのパンを焼いています。小さいお子さんには、大人の半分の大きさのを つくっていました。何年も同じのを作っていた今年の夏のある日、オーナーである父さんが『たまには、何かどうぶつの顔のパンでもつくってみたらよろこんでくれるんじゃないかな・・・』そこで、かあさんはがんばってみました。顔をつくって 目には乾しぶどう そしてかわいい耳もつけました。さあ・・・なんていってくれるかな・・・
さてさて、お母さん達は 『わー可愛い!』と大好評。ところが、子供たちは、『目がこわ〜い!』と不評のよう。なんてことだ。失敗失敗。
そこで こんどは、目の位置をちょっと下につけてみました。
こんどは、可愛いっていってもらえるかな?どきどきおだししてみたら、
『わー可愛い』(やった!よろこんでくれた・・・)ところが・・・
『かわいいね この犬』 『ちがうよ、熊だよ』『ちがうようさぎだよ!』
あらあら、皆さん色々ご意見が違うようで、トホホ・・・
そこで母さん クレヨンしんちゃんに出てくる シロのかおをつくってみました。さあここれでどうだ!
『わーうさぎのパンだ!』 『かわいい〜うさぎパンだ!』
結局のところ、そんなわけで うさぎパンに落ち着いたのでした。


何年も来て下さるお客様は、『あら、こんど うさぎパンになったんですね』
と、好評の様子。母さんは厨房で、おかわり用のパンを焼きながら お客様の反響にききみみをたて、ほくそえんでいるのでした。
ところがその時、こんな声が聞こえてきたのでした
『この耳がさー、顔の下につくとさー、ゾウさんになるのにな〜。あーあ、ゾウがいいのにな〜』
そのこえは、ずっと食事中もきこえていました。
『あーあ・・・ゾウがよかったな〜』


ハイハイ!わかりました。がんばってみましょう。
母さんの努力は今日も続くのでした・・・

 

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