その6

かけ湯

それは那須にきて1年目くらいのある日のことでした。
久しぶりの休みに 家族で 山の上の方にある有名なクアハウスにでも行って見ようと言うことに なりました。
とても豪華できれいな館内ですが、オフシーズンの夜で人は我が家のほかには 数えるほどしかいませんでした。
その館内には、温泉のほかに、水着ではいるジャグジーのプールみたいなのが いっぱいあります。
わたしが、プールにゆくと もう子供達は 歓声を上げて、プールにはいっていました。
ふときがつくと、私の左側に ちいさなお風呂みたいなのがありました。それは本当にちいさくて、人一人がやっと入れるくらいの大きさでした。それに 形がユニークで、まるで初心者マークみたいに 家型の浴槽が二つぴったりくっついていました。


「あら かわってる・・・まるで、むかし東京の親戚ではいった"樽風呂”みたい・・・”

私は 独り言をいうと、足を止めました。そこにはこんなふうな 看板が立っていました。  

" に入ると危険ですので、このかけ湯で体を慣らしてからおはいりください。 左の湯は38度 右は40度です。低いほうのお湯から 10回ずつかけて、お入りください”


「あら おもしろい!やってみよう・・・いっかい・・・にかい・・・」
そして わたしは 書いてあった通り10回ずつかけて はいりました・・・

わ〜なんだか、おもしろい。ちちゃくて、ふたつくっついていて、まるでアベック風呂ってかんじ〜〜〜〜〜
たまには こんな小さいのもおもしろいものだね・・・同じ方向むいて・・・となりどうし手をつないではいれそう・・・

と、そこへ 末息子がやってきました。
「お、おかあさん・・・そ、それは、かけ湯って書いてあるじゃない!はいっちゃいけないんだよー!はずかしー」「あーはずかしい」
「子供として恥ずかしい・・・」

な、なんと私は 勘違いしていたのでした。だって、10回ずつかけてから入るって かいてあったんだもの・・・
息子は はずかしいを連発しておりました。

もう5年も前のことなので 白状しちゃいましたが、クアハウスの方ごめんなさい! 他のお客さんもごめんなさい!

でも、もう一度言わせて・・・"かけてからお入り下さい”って書いてあったんだから・・・素直な性格だとふつうはいっるでしょ・・・
"これはかけ湯です。かけるだけで、入らないで下さい。”ってかいといてよ・・・                          

                                                 以上5年前の赤っ恥でした!

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