面接
結婚して間もなく 私は 長年やっていた保母の仕事がしたくて 代替保母を 希望した。

役所に 代替保母をやりたいと申し込んだら 1週間くらいで 仕事が来た。

役所の人が 勤務先の保育所の電話番号を教えてくれて 自分で連絡をとって 挨拶に行くように言われた。

生まれが茨城で 結婚して埼玉に住む事になった私にとって 大都会での初仕事である。

「挨拶」といっても、初対面の保育所の所長さんと話をするかと思うと 胸がドキドキした。(まだウブでした)

電話のダイヤルを回す指がブルブル震えて なんどもやり直した・・・

「プルルルルル・・・プルルルル・・・」

受話器の向こうで 電話のベルが何度も鳴っている。

(保育所は 今忙しいのかしら?それとも広くて 電話のところまで来るのに 時間がかかるのかもしれない・・・どうしよう こんな時間に電話して 気のきかない奴だと 採用してもらえないかもしれない・・・)

そんなことを考えて 切ろうかと考えた時 誰かが出た。

「はい!○○保育所です」

若い おとなしそうな声の 女性だった・・・

(あぁ・・・この人は若そうだから 所長さんではないな・・・とにかく挨拶しなくちゃ。そうだ 初めてのときは なんていえばいいんだ???)

学校を出て 8年半 一人前に 仕事をしてきたつもりなのに 初めて面接を受ける少女のように 私は頭の中が真っ白になった。

(そうだ・・・とりあえず はじめまして!だ)

そう思ったのに、

そう思ったのに・・・ 

口から出た言葉は

ど、どうもあけましておめでとうございます。

相手の 女性も ぽかんと「はぁあ???お、おめでとうございます

時は 3月の初めごろだった・・・

 

 

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